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ストレスチェック集団分析結果の組織長へのフィードバック方法(2)
前回は組織長を集めて、集団分析結果の説明を行う<1.集合方式>をご紹介いたしました。今回は組織長お一人おひとりに結果をフィードバックしていく<2.個別方式>について解説いたします。
組織の状況に合わせた支援が可能となる個別方式
個別方式とは、一つひとつの組織ごとに集団分析結果をフィードバックする方法です。組織長1名に対して行うこともあれば、例えば<部長1名+課長2名>のように、該当組織の複数の管理職に対して実施することもあります。
個別方式のメリットとデメリット
個別方式のメリットは、集合方式と比べて、該当組織の集団分析結果について個々に入り込み、詳細にフィードバックできることです。また、組織長の集団分析に対する理解度に合わせて報告会を進めることができるので、結果に対する納得感、腹落ち感を高めることができます。
報告を行う人事や産業保健スタッフにもメリットがあります。報告会で組織長と対話する中で、数値の背景でどういった事象が発生しているかを具体的に把握していくことができます。
健康リスクが高い組織の実態把握は早期の介入改善のために重要なことは言うまでもありません。加えて、良好組織でどういったマネジメント・組織運営の工夫がなされているのかにも着目することで、マネジメントの好事例を収集できます。こうして収集した好事例を後日、組織長向けに展開することで、集団分析をやりっ放しにせず、より意義深い取組みへ進化させていくこともできます。
デメリットは、当然、組織の数だけ労力を要する点にあります。また、拠点の組織長へのフィードバックにあたっては移動コストが発生します。しかし、現在は多くの企業様でオンライン会議の仕組みが導入されているため、格段に実施しやすくなっているのではないでしょうか。
個別方式の具体的な進め方
「1.ストレスチェック 集団分析の目的と読み解き方のご説明」「2.全社・管轄組織の集団分析結果のご説明」については集合方式と大きな違いはありません
「3.強み・課題へのハイライト」では管轄組織全体の数値だけでなく、課やチームなど、より小さな組織単位で数値をみていきます。この際、前年の集団分析結果や、前回の報告会の議事録が用意できると、組織長とより深く対話することができます。
今年の数値の良し悪しだけでなく、前年の結果に比べて数値が改善・悪化している点に着目していくことが基本的な視点となります。
「4.その他、 Q&A やご相談対応」では、集合形式だと聞きづらかった質問や話しづらかったテーマにも踏み込んで扱っていきます。各現場の状況を直接組織長から聞くことが出来るため、人事・産業保健スタッフから現実的な支援やアドバイスができます。
<個別方式のアジェンダ例>
1.ストレスチェック 集団分析の目的と読み解き方のご説明
2.全社・管轄組織の集団分析結果のご説明
3.強み・課題へのハイライト、職場での対応・施策の検討
4.その他、 Q&A やご相談対応
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企業のメンタルヘルス対策において経験豊富な心理専門職が、メンタル不調者/休復職者への支援をするために、本人に加え、関係者や組織に対しても必要なアプローチを行います。
継続して取り組むことで集団分析結果の活用が組織に定着する
個別報告会を数年間実施し続けている企業では、徐々に全社の健康リスクが改善されている事例もあります。また、2年~3年ほど継続すると、組織長の集団分析に対するリテラシーや関心が高まり、自然に結果を踏まえた行動・施策を検討いただけるようになります。
今年はコロナ禍でテレワークをしている職場も多く、組織長からは「職場の状態をデータで把握することが出来て参考になった」という声も聞いています。個別方式は一定の労力はかかりますが、その分、効果も大きい方法です。皆様の組織でも実施を検討されてみてはいかがでしょうか。
当社ではストレスチェック後の集団分析結果を活用した職場環境改善サービスを提供しております。
サービスにご興味がございましたらお気軽にお問い合わせください。
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貴社では、ストレスチェックの集団分析をどのように活用していますでしょうか。私自身が、比較的多くご提供する機会があるのは「高ストレス職場全員(キーマン)面談」です。集団分析の結果、特に高ストレスな結果が出ている部署、そして、人事もその原因をイマイチつかみ切れていない部署に対し「外部の専門職」という立場で、その部署の皆さんに面談でヒアリングをするのです。