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健康経営

3分で読める!人事お悩み相談室~健康経営度調査票作成支援を通じて考えたこと~(SOMPOヘルスサポート)

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普段より私どもは、メンタルヘルス対策や健康経営をご支援させていただく中で、人に関するさまざまなご相談をいただきます。このコラムは、多くの人事の方々からいただくお悩みにお答えする形で、どうしたら従業員の皆さまにより元気により幸せに働いてもらえるのか、考えていこうという内容になっております。

さて、10月13日金曜日は「健康経営度調査(大規模法人部門)」の申請〆切日でした。今年度もたくさんの企業様の調査票作成支援をさせていただきました。申請を担当された皆様、本当にお疲れ様でした。

ここ数年、この「調査票作成支援コンサルティング」を担っているのですが、今年度特に感じたのは「健康経営と経営課題が近づいてきたな」ということです。
経済産業省は、この制度を始めた当初から「健康経営とは、経営課題を解決するためのものだ」と強く発信しているのですが、そうは言ってもやはり「健康経営=健康施策の実施」だと捉えている企業様がこれまでは多い印象でした。

目的をはっきり定めないまま、健康経営度調査票で求められている健康施策をとにかくひとつでも多く実施しなければ・・・と頑張っていたのです。

しかし今年度は、「当社の経営課題とは何か」を明確化するところから始め、「その経営課題を解決するために必要な施策は何か」「何をもって経営課題解決に近づいているかを検証するのか」ということを、きちんと考える企業様が増えてきました。(私どものお客様には「そこをしっかり考えてくださいね!」と、再三お願いしているということもありますが)

経営課題というのはさまざまあると思いますが、健康経営と紐づく経営課題は、基本的には「健康経営宣言」の中で表現されているものです。

「社員がより活き活きと働いていかれるように」

「社員が前向きに最大限パフォーマンスを発揮できるように」

「組織が活性化することで、我が社が持続的に成長していくように」

「社員とその家族が、心身ともに長く健康で働いていかれるように」

つまり、今よりもさらに「活き活きと」「前向きに」「最大限パフォーマンスを発揮して」仕事をしてもらい、「組織が活性化され」「心身ともに長く健康に」働いてもらう・・・ということが、経営課題なわけです。そのための健康経営だよね、ということが企業様の中で関係者の共通認識になってきたことは大変よいことだと思います。

一方で課題もあります。

「何をもって経営課題解決に近づいているかを検証するのか」という部分です。代表的な評価指標は、以下になります。

■「活き活きと」「前向きに」⇒ワーク・エンゲージメント

■「最大限パフォーマンスを発揮して」⇒プレゼンティーイズム

■「組織が活性化され」⇒従業員エンゲージメントや組織活性度

■「心身ともに長く健康に」⇒アブセンティーイズム

そもそも上記を測っていない・・・という場合は、まずは測定しないと始まらないので、どんなツールで何を測るのか検討することが必要です。ただ、測定はしている企業様でも「どの施策が、どの評価指標に『効いて』いるのか、よくわからない」というのが本音なのではないでしょうか。

保健指導を徹底したら ⇒ 適正体重維持者率が増えた

このような図式は非常にわかりやすいのですが、●●を実施したら ⇒ ワーク・エンゲージメントが向上した。この「●●」には、複数の要素が絡まるために、何が一番効果的だったのか特定しづらいわけです。これは非常に難しい問題ですよね。正直、私どもも「これだ!」という明確な答えを持っているわけではありません。

当社創業時の社長は、まだ誰も「プレゼンティーイズム」という言葉を知らない相当早い時期に「WLQ」というプレゼンティーイズムを測定するツールを開発者であるタフツ大学と契約をして当社で取り扱えるようにした人なのですが、その社長曰く「プレゼンティーイズム測定は体温計のようなもの」つまりプレゼンティーイズムを左右する要素は複数あれど、とにかく自分の体温を測って把握しておくのが大切なように、自社のプレゼンティーイズムの状態を把握することが大切なのだと。

色々な健康施策を実施した「結果として」、プレゼンティーイズムやワーク・エンゲージメントの経年変化を見ていく、まずはそれでよいと私も思います。

ただ、もう一歩先に進むこともできると思います。例えば、ワーク・エンゲージメントに強く影響を与えている因子は何か、ストレスチェックや従業員満足度調査、労働時間等、色々な要素と相関分析をして、探索してみるのはどうでしょうか。どうも「上司との関係性」がキーだということになれば、管理職への教育を強化する、という方向性になるでしょう。

例えば、プレゼンティーイズムを悪化させている要因をWFunというツールであれば、分析することができます。最もプレゼンティーイズムに影響を与えているのが「睡眠」だということになれば、質のよい睡眠をとるための施策を強化していくことになるでしょう。質のよい睡眠をとるためには、また色々な要素が絡みますので、

対策の組み合わせが必要なのですが・・・

そういう対策を考えるのも「目的」「目標」が明確だと、楽しいですよね!

自社の経営課題と真摯に向き合う、そういう企業様をこれからも全力でご支援したい。改めてそう感じたここ数か月でした。

------------☆筆者プロフィール☆------------


桜又 彩子(さくらまた あやこ)


SOMPOヘルスサポート株式会社
シニアゼネラルコンサルタント

システム開発会社の人事部で7年間勤務の後、
2007年よりSOMPOヘルスサポートにてメンタルヘルスおよび健康経営の
コンサルティング業務、研修講師などに従事。


【保有資格】

特定社会保険労務士 
キャリアコンサルタント
シニア産業カウンセラー
ポジティブ心理学プラクティショナー
健康管理士一般指導員  など