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健康経営で注目される生産性指標“プレゼンティーイズム”を解説
企業が健康経営に取組む目的として“従業員の生産性の向上”が挙げられます。
生産性への影響度を評価する指標として「アブセンティーイズム」と「プレゼンティーイズム」の2つが、『企業の「健康経営」ガイドブック』(経済産業省)において示されています。
また、この6月に経済産業省によって『健康投資管理会計ガイドライン』が策定されましたが、ガイドラインの中でも「アブセンティーイズム」と「プレゼンティーイズム」は健康投資効果を測定する指標として紹介されています。
健康経営度調査票においても施策の評価/改善、健康経営全体の効果検証の指標として回答項目が設定されています。
本記事では、健康経営の効果の見える化にあたって有力な指標であるプレゼンティーイズムについて解説いたします。
目次
■プレゼンティーイズムとは?
■プレゼンティーイズムの測定方法
■WFun・WLQについて
■プレゼンティーイズム(WFun・WLQ)の測定結果の活用事例
■プレゼンティーイズムとは?
生産性への影響度を評価する指標として「アブセンティーイズム」と「プレゼンティーイズム」があります。
アブセンティーイズムとは? : 病欠、病気休業の状態
プレゼンティーイズムとは? : 何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、なんらかの体調不良があるまま働いている状態
米国での調査結果によれば、出勤しても健康な状態でないために、集中力や意欲が減退することにより失われる損失(プレゼンティーイズム)は、企業の従業員の欠勤、遅刻、早退が企業にもたらす損失(アブセンティーイズム)や医療費よりも多いと言われています。
一般には、メンタルヘルス疾患による病休者など、目につきやすいアブセンティーイズムに注目しがちですが、実は、就業者で不調を抱えているために業務遂行能力が低下するプレゼンティーイズムによる損失の方がはるかに大きいのです。
■プレゼンティーイズムの測定方法
経済産業省が発行している、『企業の「健康経営」ガイドブック』では、5つの測定方法が推奨されています。
出典:「企業の「健康経営ガイドブック」 ~連携・協働による健康づくりのススメ~(改訂第1版:平成28年4月)」(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkokeiei-guidebook2804.pdf
上記のうち、WFun及びWLQについては、当社SOMPOヘルスサポートにてサービス提供しております。
以降、WFun・WLQについてご紹介いたします。
■WFun・WLQについて
・WFun
WFun(Work Functioning Impairment Scale)は、産業医科大学で開発された、健康問題による労働機能障害の程度を測定するための調査票です。心理測定学理論およびRasch modelと呼ばれる数学理論にもとづいて開発されました。
当社では、2018年10月に産業医科大学とライセンス契約を締結し、企業・団体へのご提供を開始しました。
・WLQ
WLQ(Work Limitations Questionnaire)は、タフツ大学で開発された、健康問題による仕事上の制約の状況や生産性の低下率を測る調査票です。WLQの生産性低下割合を算出する計算式のアルゴリズムは、高い信頼性と妥当性が確認されています。米国では医学健康の諸分野で広く研究されており、NASAでも活用されています。
当社ではこのWLQを活用した、日本で初となる健康問題による生産性低下率測定プログラム 『WLQ-J』を開発いたしました。
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■プレゼンティーイズム(WFun・WLQ-J)の測定結果の活用事例
それではここからは具体的な事例をご紹介いたします。
・WFunの活用事例 ~労働機能障害の程度からの対象者アプローチ~
例えば、「健康診断の結果」や「ストレスチェックの結果」とWFunの結果を掛け合わせて、セグメントごとにアプローチを変えて対処していく方法があります。
健診結果やストレスチェック結果から得られる健康リスクだけでなく労働機能障害の程度を加味して対象者の選定を行うことで目的に応じた介入が可能になります。
以下の図の【セグメント①】の対象者は「健康リスクが高く、かつ、労働機能障害が中等度~高度」ということで、最優先で介入すべき対象者ということになります。
一方で、【セグメント③】の対象者は「健康リスクはないが、労働機能障害が高度」となっています。健診結果、ストレスチェックからは健康リスクを把握できていませんが、労働機能障害を有していることが想定されます。
この場合、産業保健スタッフ等による面談、アンケート等を活用することで、従来は把握しきれていなかった【セグメント③】の対象者の健康課題を把握し、対策を講じることが可能となります。
もちろん健康リスクの高い【セグメント②】にも適切なフォローを行うべきであることは言うまでもありません。
・WLQ-Jの活用事例 ~労働生産性損失のコスト評価~
WLQ-Jを利用することで、「プレゼンティーイズムによる労働生産性の低下でどの程度の経済損失が発生しているか」ということを理論上、算出することができます。
例えば、以下の前提の企業があったとします。
✓全社のプレゼンティーイズムの低下率が3%
✓従業員の標準報酬額(年額)が500万円
✓従業員数は1,000名
この場合、以下の数式により、この企業はプレゼンティーイズムによる労働生産性の低下により、年間で1.5億円の損失が発生していると考えることができます。
これを応用することで、「健康経営のために行った施策が、どのくらいの効果を生み出したのか、金額で把握する」といったことも可能になります。
今回の記事ではプレゼンティーイズムについてその意味や測定方法について解説してまいりました。
当社ではプレゼンティーイズム測定ツールであるWFun・WLQ-Jを提供しております。
サービスにご興味がございましたらお気軽にお問い合わせください。
>>WFun
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本記事の情報は、2020年9月30日時点のものです。サービス内容、お問い合わせ先、URL等は、予告なしに変更される可能性があります。
あらかじめご了承ください。
【関連サービス】
経済産業省が推奨しているプレゼンティーイズム測定ツール「WFun」
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