お役立ち情報 Useful

UP

離職防止

3分で読める!人事お悩み相談室~「若手社員の離職率が高くて困っています」~

退職意思に影響のある因子

「若手社員の離職率が高くて困っています」・・・これは、近年、非常によく聞くお悩みのひとつです。苦労して採用し、手塩にかけて教育し、さあ、これからどんどん活躍してほしい!という段になって退職となると、とても残念な気持ちになりますよね。「ああ、残念」で終わればまだいいのですが、人手不足が深刻化する状況においては、経営課題に直結する大変な問題だと思います。

辞めたい・・.jpg

いま、当社では、離職予防を目的においた新しいサーベイの開発を検討しています。その過程で、SOMPOグループの研究機関に依頼し、退職意思に影響のある因子を整理しました。因子はもちろんたくさんあるのですが、その中でも以下などがポイントになりそうです。特に若手社員にとっては、職場の人間関係は、とても重要な因子となります。
・自律的なキャリア形成ができるか
・評価や処遇に納得感があるか
・成長機会があるか
・人間関係が良好か

【関連記事】

 【エンゲージメント】エンゲージメントサーベイを活用した離職防止施策の事例 .jpg

【エンゲージメント】エンゲージメントサーベイを活用した離職防止施策の事例 
最近、従業員の離職を予防するための施策としてエンゲージメントサーベイや従業員満足度調査を活用したい、といった企業の声を多く聞くようになりました。理由として・・・

退職代行サービス

さて、各社が若手社員の離職防止に頭を悩ませる中、「ついに、退職代行サービスから連絡が来た!」というお客さまがいらっしゃいました。ときどき、ニュース等で話題となる退職代行サービス。労働者に代わって、会社側に対して退職の意思表示を行うサービスです。弁護士等の代理人が、会社と退職したい労働者の間に入って、退職手続きの窓口になります。退職意思の伝達だけでなく、例えば、退職日の交渉、退職手続きの代行、未払いの給料や残業代などの金銭請求、会社から損害賠償請求された場合の対応などもしてくれます。(法的な交渉が発生する場合、代理人になれるのは弁護士のみ)

労働者が退職代行サービスを利用するケースというのは、会社側が、なんだかんだ言って退職届を受け取ってくれない、損害賠償請求するぞ!などと脅してくる、・・・そのような状況が通常想定されているので、「うちの会社は、そんなことしないから大丈夫」と思われていることと思います。

また、法律的には、労働者が申し出れば2週間で退職できるという決まりがありますから、就業規則上は、それよりも長い期間を設定しているにしても「そういう規定があるのを知らない人が使うサービスかな?」と、思われるかもしれません。しかし、今はネットで皆さん情報検索されるので、退職代行サービスを使う人で、その法律を知らないという人は、ほぼいないそうです。

理不尽な引き留め工作をするような会社ではない、2週間たてば法律上は辞められる、・・・・それなのに、なぜサービスを使うのか。退職代行サービスを請け負っている弁護士の先生に話を聴いたことがあります。その理由は、圧倒的に「コミュニケーションを遮断したいから」だそうです。

退職代行.jpg


ここで、冒頭に書きました「若手社員にとって、人間関係が重要」というお話に繋がってくるのですね。なぜなら、辞めたい人が「コミュニケーションを遮断」したいのは、だいたいが上司だからなのです。パワーハラスメントをされたとか、長時間残業を強要されたとか、そういう場合だけではないのが留意すべき点です。例えば、「上司が一方的に決めつけるように話す人、論破するような感じで話す人なので、こちらのメンタルがきついときに、退職の話なんて、とてもできません」とか、「職場のみんながとても忙しく、自分ももう長くは続けられないと思って辞めたいのだが、自分が抜けたら周りにどれだけ迷惑がかかるかわかっているからこそ、どうしても自分からは言い出す勇気がありません」とか、「退職したいと言っているのに『あと2年は頑張ってみよう』『ここが君の踏ん張りどころだと思うよ』などと励まされてしまって、話をはぐらかされてしまう」とか、そういうことなのです。

私はそれを聞いて感じました。退職代行サービスを利用するのは、労働者側がコミュニケーションを拒否している状況と考えていたけれど、最初にコミュニケーションを拒否したのは上司側という側面もあるかもしれないと。

もちろん、表面的には話をしているのですが、心のこもった会話ができていないので、いつしか労働者のほうは「何を言っても伝わらない」「変わらない」と諦めてしまって、
しまいには退職代行サービスに行きついてしまったのではないか。労使トラブルの根底には「言っても無駄だ」という諦めがあります。それはとても悲しい状況です。

当社としては、「コミュニケーションがとれていれば防げた退職」については防いでいきたい、と考えています。そのために、専門職や組織開発チームが間に入ることもありますし、サーベイの結果を媒介にして、上司と部下のコミュニケーションを促進する仕掛けを作っていくことも検討しています。

ちなみに、退職代行サービスから連絡が来ても、人事は比較的淡々としているそうです。冷静に淡々と対応するだけなのですが、大きなショックを受けるのは、直属の上司だとのこと。

「あんなにコミュニケーション取っていたのに・・・」と愕然とされる上司も少なくないそうなのです。上司の方々というのは、超多忙な中、必死で頑張っている方がほとんどです。そのような中で、部下に本音を言ってもらえるような関係性を築くのはどれだけ大変なことか・・・。

当社は、上司の方々の助けにもなるようなツールや仕組みやサービスをこれからも検討していきたいと思います。

【関連サービス】

産業医with.png ウェルビーイングをともに。産業医With
産業衛生、健康経営、メンタルヘルスの各分野に精通した専門科の方々とパートナーシップを提携し、質の高い産業医サービスを提供してまいります。

------------☆筆者プロフィール☆------------

桜又 彩子(さくらまた あやこ)

SOMPOヘルスサポート株式会社
シニアゼネラルコンサルタント

システム開発会社の人事部で7年間勤務の後、
2007年よりSOMPOヘルスサポートにてメンタルヘルスおよび健康経営の

コンサルティング業務、研修講師などに従事。

【保有資格】
特定社会保険労務士 
キャリアコンサルタント
シニア産業カウンセラー
ポジティブ心理学プラクティショナー
健康管理士一般指導員  など