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人事担当者必見!ハラスメント研修成功のコツ
目次
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本記事では、人事担当者の方がハラスメント研修を企画・実施する際に知っておくべきポイントを、分かりやすく解説します。
ハラスメントの基礎知識から効果的な研修の実施方法、そして研修後の定着まで、具体的なステップでご紹介いたします。
ハラスメントとは? その定義と主要な種類を理解する

まずハラスメントの定義と種類を正しく理解することで、問題の早期発見と適切な対策が可能になります。
以下に、主要なハラスメントの種類をまとめました。
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種類 |
主な定義と特徴 |
具体的な行為例 |
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セクシャルハラスメント |
性的な言動により、他者の尊厳や職場環境を損なう行為。相手の意に反するかどうかが重要。 |
不適切な身体接触、性的な冗談・からかい、個人的な性経験の強要。 |
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パワーハラスメント |
優越的な関係性(地位、人間関係、知識・経験など)を利用し、業務の適正範囲を超えて精神的・身体的な苦痛を与える行為。 |
人前での叱責・罵倒、実現不可能なノルマの強要、無視・仲間外れ、業務を与えない。 |
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モラルハラスメント |
精神的な攻撃や嫌がらせによって、相手の心身に悪影響を与える行為。間接的で分かりにくい場合もある。 |
無視や陰口、過度な批判、人格否定、必要な情報の共有拒否。 |
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マタニティハラスメント |
妊娠・出産・育児を理由に、不利益な扱いをしたり嫌がらせをしたりする行為。 |
妊娠を理由にした降格・解雇、育休取得希望者への嫌がらせ、復職の拒否。 |
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その他のハラスメント |
アルコールハラスメント(飲酒の強要)、カスタマーハラスメント(顧客からの理不尽な要求)など。 |
飲酒の強要、暴言・暴力的なクレーム、土下座の強要。 |
発生した場合の職場への影響と防止ポイント
・セクシャルハラスメント
被害者への精神的苦痛だけでなく、企業の評判も損ないます。相手がどう感じるかを尊重し、不快に思われる言動は避けることが重要です。
・パワーハラスメント
従業員が委縮するようになり、業務への意欲を著しく低下させます。指導とハラスメントの線引きを明確にし、業務上の指導は目的・必要性・方法・程度が適切かどうかを管理職が意識する習慣作りが大切です。
・モラルハラスメント
目に見えにくく、職場に陰湿な雰囲気をもたらします。オープンな場でのコミュニケーションを重視し、相手の意見や存在を尊重する姿勢が求められます。
・マタニティハラスメント
少子化対策や女性活躍推進に逆行する行為であり、社会的にも非常にマイナスなイメージをもたらします。企業として妊娠・出産・育児に関する従業員の権利を保障し、明確な方針を打ち出すことが不可欠です。
ハラスメント研修の目的と、企業が得られる多角的な効果
ハラスメント研修は単に義務的に行うものではなく、正しく行うことで効果も期待できます。
効果1 法令遵守と法的リスクの回避
労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)などにより、企業にはハラスメント防止のための措置が義務付けられています。研修を通じて法令を周知し、適切な対策を講じることで、以下のリスクを低下させることができます。
・損害賠償請求訴訟のリスク
ハラスメントを放置した場合、企業が被害者から損害賠償を請求される可能性があります。
・行政指導・罰則のリスク
法令義務を怠った場合、行政による指導や勧告、企業名の公表などの措置を受ける可能性があります。
・レピュテーションリスク
企業の評判やブランドイメージが低下し、顧客離れ、取引中止、人材確保の困難、株価下落などの損失を被る可能性があります。
効果2 従業員の安全とエンゲージメント向上
従業員の心理的安全性が向上することで、期待できる効果があります。
・メンタルヘルスリスクの低下
精神的ストレスが低下することで従業員のメンタルヘルス面でのリスクが低下します。
・モチベーションの向上
ハラスメントがない安心感は従業員のモチベーションを高め、結果として業務効率や生産性の向上に繋がります。
・エンゲージメントの強化
企業が従業員を大切にしている姿勢は、従業員の会社への信頼と愛着を深め、エンゲージメントを高めます。
・早期発見と対処能力の向上
研修を受けた従業員は、ハラスメントの兆候を早期に発見し、問題がエスカレートする前に解決できる可能性が高まります。
効果3 企業イメージと競争力の強化
ハラスメントのない健全な職場環境は、企業の社会的評価を高め、競争力強化に貢献します。
・人材の確保と定着
働きやすい職場づくりは、従業員の定着率が向上し、離職率の低下にも寄与します。
・企業イメージの向上
ハラスメント対策に積極的な企業は、社会的な信頼を得やすく、ブランドイメージが向上します。
・多様性を受け入れる土壌の形成
多様な価値観を尊重する風土が育つことで、様々なバックグラウンドを持つ従業員が互いを尊重し、能力を発揮できるインクルーシブな職場文化の醸成に繋がります。
効果的なハラスメント研修を企画・実施するステップ

ハラスメント研修の効果を最大限に引き出すためには、計画的な準備と対象に合わせたプログラム設計が不可欠です。
<研修計画の立案と目標設定>
研修の成功には、具体的な目標設定が重要です。
・実態の把握
自社のハラスメントに関する現状(相談内容、通報状況)を把握し、課題を明確にします。
・研修目標の設定
「従業員全員がハラスメントの定義を理解し、具体的な行動例を認識する」「管理職がハラスメント発生時の初期対応を習得する」など、具体的な行動目標を設定します。
・対象者の選定
全従業員、管理職、新入社員など、誰を対象にするかを明確にします。
<対象者別(階層別)カスタマイズの重要性>
一律の研修ではなく、対象者の役職や職務内容に合わせた内容にカスタマイズすることで、研修効果は格段に向上します。
<管理職向け研修例>
・ハラスメントの定義・種類、具体例に加え、発生時の初期対応、再発防止策、部下への適切な指導方法、アンガーマネジメントなどを学びます。
・「部下を守る」「組織を守る」という視点に加え、「自身の言動がハラスメントにならないか」を常に意識させる内容が重要です。ケーススタディを通じて、具体的な対応方法を習得させます。
<一般従業員向け研修例>
・ハラスメントの定義や種類、具体例、被害者・加害者・傍観者にならないための意識、ハラスメントを受けた際の相談先・対処法、予防策などを学びます。
・「自分ごと」として捉えてもらえるよう、身近な事例を多く取り入れ、当事者意識を高める工夫が必要です。
<研修内容はどうする?>
多様な手法を取り入れることで、受講者の関心を引きつけ、学習効果を高めることができます。
・専門家による講義
ハラスメント問題に詳しい弁護士やカウンセラーなどを招き、経験に基づいた知識や実践的な対応方法を学びます。具体的な事例解説は、参加者の理解を深めます。
・ケーススタディ・グループワーク
実際に起こりうるハラスメントの事例を提示し、グループで対応策を議論させることで、実践的な判断力や問題解決能力を養います。
・動画の活用
動画を活用することで、文字情報だけでは伝わりにくいニュアンスや感情を伝え、より印象深く記憶に残る研修にできます。
<成功のコツ 経営層のコミットメント>
ハラスメント対策の成功には、経営層の強いコミットメントが不可欠です。
・経営層によるメッセージ発信
研修の冒頭で経営層がハラスメント防止への強いメッセージを発信することで、研修の重要性が全従業員に伝わり、意識改革が促進されます。
・経営層の研修参加
経営層自身が研修に参加し、積極的に学ぶ姿勢を示すことで、従業員の参加意欲が高まります。
・ハラスメント防止方針の明示
企業としてハラスメントを許さないという明確な方針を掲げ、社内規程に明記し、周知徹底することが重要です。
研修効果を最大化し、職場に定着させるためのポイント

一度研修を実施しただけでハラスメント問題がなくなるわけではありません。研修で得た知識を行動変容に繋げ、職場全体に定着させるための継続的な取り組みが重要です。
<定期的なフォローアップ研修の実施>
法律や社会情勢の変化、職場の実態に合わせて、研修内容も常に最新のものにアップデートする必要があります。年に1回など定期的に研修を実施することで、従業員の意識を常に更新し、知識の定着を図ります。法改正があった際は、速やかに内容を反映させましょう。また、初回は基礎知識、次回は応用編など、段階的に内容を深化させることで、継続的な学びを促します。
<アンケート・フィードバックによる改善サイクル>
研修の効果を測定し、次回の研修に活かすために、従業員からのフィードバックは欠かせません。研修直後のアンケートで内容の理解度や改善点を把握し、定期的な従業員意識調査でハラスメントに関する認識の変化を評価します。これらのデータを分析し、研修内容や実施方法を継続的に改善していくPDCAサイクルを回すことが重要です。
研修との相乗効果:相談窓口の設置と運用
ハラスメント研修と並び、ハラスメント対策の両輪となるのが「相談窓口」の設置と適切な運用です。従業員が安心して相談できる環境を整えることは、問題の早期発見・解決に不可欠です。
<相談窓口設置の法的義務と重要性>
労働施策総合推進法により、企業にはハラスメントに関する相談に応じ、適切に対応するための体制整備が義務付けられています。
・問題の早期発見・解決
相談窓口があることで、ハラスメントの芽を早期に摘み取り、深刻化する前に解決に導くことができます。
・従業員の心理的安全性の確保
「困ったときに頼れる場所がある」という安心感は、従業員の心理的安全性を高め、会社への信頼感を醸成します。
・企業の責任を果たす
相談窓口は、企業がハラスメント対策に真摯に取り組んでいる姿勢を示すものであり、法的・社会的な責任を果たす上で不可欠です。
<信頼される相談窓口の条件>
ただ窓口を設置するだけでなく、従業員に「ここなら安心して相談できる」と思ってもらえる環境づくりが重要です。
・相談者のプライバシー保護
相談内容や個人情報が厳重に守られることを明確に伝え、誓約書などを提示して安心感を与えます。
・公平・公正な対応
相談対応者が特定の立場に偏らず、公平かつ客観的に事実関係を調査・判断できる体制を構築します。
・複数の相談ルート
社内窓口(人事、産業医、カウンセラーなど)だけでなく、社外の専門機関(弁護士、相談センターなど)も紹介し、相談者が選びやすい複数の選択肢を提供します。
・相談対応者の専門性
相談対応者が、ハラスメントに関する専門知識や傾聴スキル、秘密保持意識を持っていることが重要です。定期的な研修でスキルアップを図りましょう。
ハラスメント研修に関するQ&A
ハラスメント研修を検討する人事担当者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q 研修の頻度はどのくらいが理想的?>
A 年に一度以上、定期的に行うことをお勧めします。 定期的な研修は従業員の意識を常に更新し、適切な対処方法の習得に繋がります。法改正や社会情勢の変化にも対応できるよう、必要に応じて内容をアップデートしましょう。多くの企業では、全社員対象の基本研修を年1回、管理職向けは年2回など、対象者に応じて頻度を調整しています。
Q オンライン研修の有効性は?
A オンライン研修は非常に有効な手段です。 時間と場所の制約が少ないため、多拠点やリモートワーク環境下の従業員も参加しやすく、交通費や会場費などのコスト削減にも繋がります。チャット機能や投票機能、少人数グループでのディスカッションを促すなど、インタラクティブな要素を取り入れることで、集合研修と同等の高い効果が期待できます。
Q 研修費用の目安は?
A ハラスメント研修の費用は、規模や内容により大きく異なります。 外部の専門家を招く集合研修では、数万円から数十万円、自社専用の内容にした場合はそれ以上かかるケースもあります。
まとめ:ハラスメントのない健全な職場環境を目指して

ハラスメント研修は、従業員一人ひとりが安心して仕事に集中し、その能力を最大限に発揮できる職場環境を築くための重要な投資です。ハラスメントの正しい知識を学び、適切な対策を講じることで、企業は法的リスクを回避し、従業員エンゲージメントを高め、最終的には企業価値の向上へと繋がります。
本記事で解説したポイントを参考に、ぜひ貴社に最適なハラスメント研修を企画・実施し、すべての従業員が輝ける健全な職場環境の実現を目指してください。
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