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【令和7年度最新】ホワイト500とは?認定基準・メリット・取組方法をわかりやすく解説

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『本質的な健康経営を進めるための3つのポイント』
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ホワイト500とは?認定基準・メリット・取組方法をわかりやすく解説

企業の持続的成長には、従業員の健康が不可欠です。近年、「健康経営」への注目が高まり、多くの企業が取り組みを進めています。
その中でも、大規模法人にとっての目標となるのが、経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人(大規模法人部門)」の上位500法人、通称「ホワイト500」の認定取得です。
ホワイト500認定は、単なる認定制度に留まらず、企業価値の向上、人材確保、従業員エンゲージメントの強化といった、経営戦略上の大きなメリットをもたらします。
本記事では、「ホワイト500とは何か?」という基本的な疑問から、認定を目指すべき理由、具体的な認定基準、取組方法、そして申請方法までを、健康経営の担当者様や役員の方々が理解しやすいように解説します。令和7年度の最新情報や、貴社がホワイト500を目指す上で押さえるべき課題と解決策にも触れていきます。

「ホワイト500」とは?健康経営優良法人認定制度における位置づけ

1.1. 健康経営優良法人認定制度の全体像と区分

「健康経営優良法人認定制度」は、従業員の健康管理を経営的な視点から捉え、戦略的に実践する「健康経営」に取り組む優良な法人を顕彰する制度です。経済産業省と日本健康会議が連携し、2017年から毎年実施されています。

この制度には、企業の規模に応じて2つの部門があります。

  • 大規模法人部門:大企業が対象
  • 中小規模法人部門:中小企業が対象
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ホワイト500」とは、この大規模法人部門で特に優れた健康経営を実践している上位500法人に与えられる称号です。健康経営優良法人の中でもトップランナーとして認められる証であり、企業にとって大きな社会的評価とブランディング効果をもたらします。

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1.2. 「ホワイト500」制度の背景と目的

ホワイト500を含む健康経営優良法人認定制度の背景には、少子高齢化、医療費増加、働き方改革推進といった社会情勢があります。

企業が従業員の健康に投資することは、従業員の活力向上、生産性向上、企業イメージ向上など、多岐にわたる効果をもたらします。

「ホワイト500」制度の目的は以下の通りです。

  • 「健康経営」の普及促進:優良な取り組みを「見える化」し、社会全体に健康経営を広める。
  • 企業の健全な競争の促進:認定取得を目標とし、企業が従業員の健康増進に一層力を入れるように促す。
  • 従業員の健康意識向上:企業が健康経営に真剣に取り組む姿勢を示し、従業員自身の健康行動を促す。

健康経営は、これからの企業経営において不可欠な視点であり、ホワイト500はその最たる実践例と言えるでしょう。

1.3. なぜ今、ホワイト500を目指すべきなのか?

ホワイト500の認定は、単なる名誉に留まりません。企業・法人にとって、以下のような具体的な経営上の価値をもたらします。

  • 企業価値・ブランドイメージの向上:健康経営を実践する優良企業として評価され、社会的信頼度や企業イメージが向上します。IR(投資家向け広報)やCSR(企業の社会的責任)の観点からも重要です。
  • 採用競争力の強化:従業員の健康を大切にする企業は、就職希望者にとって魅力的です。優秀な人材確保のための強力なアピールポイントとなります。
  • 従業員エンゲージメントと生産性の向上:従業員が心身ともに健康であれば、仕事へのモチベーションや集中力が高まり、業務効率が上がります。プレゼンティーイズム(出勤しているが心身の不調で生産性が低下している状態)の改善や、アブセンティーイズム(病欠などによる欠勤)の削減にも効果が期待できます。

これらのメリットは、のちほどより詳しく解説します。

【令和7年度版】ホワイト500の認定基準と評価項目

チェックリスト.jpgホワイト500の認定は、単に健康施策を行っているだけでなく、その取り組みが経営理念に基づき、戦略的に行われ、継続的に改善されているかが評価のポイントとなります。

2.1. 認定要件の基本と主要な評価項目

健康経営優良法人の認定は、「健康経営度調査」の結果に基づき行われます。主な評価分野は以下の5つです。

  1. 経営理念・方針:経営層が健康経営を重要視し、明確な方針を打ち出しているか。
  2. 組織体制:健康経営を推進するための責任者や体制が整備されているか。
  3. 制度・施策実行:従業員の健康課題に応じた具体的な施策が計画的に実施されているか。
  4. 評価・改善:施策の効果測定を行い、PDCAサイクルを通じて改善に取り組んでいるか。
  5. 法令遵守・リスクマネジメント:労働安全衛生関連の法令遵守や、心身の健康リスクに対する対応ができているか。

これらは、調査票の回答内容と提出資料に基づいて総合的に評価されます。
令和7年度調査票の前年度からの変更点、特に注目すべきポイントについては、令和7年度健康経営度調査票を読み解く!の記事で解説しています。

実際の調査票の内容は、健康経営優良法人認定制度の公式ウェブサイトで公開されています。

2.2. 大規模法人部門に特有の評価ポイント・加点項目

ホワイト500は、健康経営優良法人の中でも特に優れた上位500社が選ばれます。そのため、大規模法人ならではの基準や、先進的な取り組みが評価されます。

  • 特定健診・特定保健指導の実施率の高さ:従業員の健康状態把握と改善に繋がる実施率が重視されます。
  • ストレスチェック後の面接指導実施率:メンタルヘルス対策への積極的な取り組みが求められます。
  • 労働時間管理の徹底と過重労働対策:長時間労働の是正や、心身の健康リスクへの対策。
  • 多様な健康課題への対応:がん対策、生活習慣病予防、女性の健康、不妊治療支援など、包括的な取り組み。
  • 従業員の健康増進に向けた具体的な施策:運動機会の提供、食生活改善支援、禁煙施策など、健康行動を促す環境整備。
  • 経営層のコミットメントと情報開示:経営層が健康経営を経営戦略の柱として位置づけ、その取り組み状況を社内外に積極的に情報開示しているか。

これらの項目において、ホワイト500の認定を受けている企業は当然のように取り組んでいるほか、効果検証をして具体的な成果を出しています。

ホワイト500認定が企業にもたらす具体的なメリットと効果

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ホワイト500に認定されることは、企業にとって多岐にわたる具体的なメリットをもたらします。
これらは、健康経営担当者様や役員様が、社内で健康経営推進の必要性を訴える際の重要な根拠となります。

3.1. 企業価値・ブランドイメージの向上

  • 社会的信頼の獲得: 「ホワイト500」は、国が認める健康経営のトップランナーの証。社会的な信頼性や企業イメージが向上します。
  • IRESG評価の向上: 投資家から持続可能性が高いと評価され、ESG投資の対象となりやすく、株価や資金調達に好影響を与える可能性があります。
  • 取引先・顧客からの評価: 「従業員を大切にする企業」というイメージは、取引先や顧客からの評価を高め、良好な関係構築にも繋がります。

3.2. 採用力強化と優秀な人材の確保

  • 求職者へのアピール: 従業員の健康を大切にする企業は、就職希望者にとって非常に魅力的です。優秀な人材確保のための強力なアピールポイントとなります。
  • 離職率の低下: 従業員が健康で活き活きと働ける環境は、エンゲージメントを高め、結果として離職率の低下にも貢献します。

3.3. 従業員のエンゲージメント・生産性向上

  • モチベーションとロイヤリティの向上: 企業が従業員の健康に配慮することは、従業員の「自分は大切にされている」という意識を高め、企業への帰属意識やモチベーション向上に繋がります。
  • 生産性の改善: 従業員の健康状態が改善されることで、集中力や創造性が向上し、業務効率が上がります。プレゼンティーイズム(出勤しているが心身の不調で生産性が低下している状態)の改善や、アブセンティーイズム(病欠などによる欠勤)の削減にも効果が期待できます。

3.4. 金融機関からの優遇措置と新たな機会創出

  • 健康経営融資: 一部の金融機関では、健康経営に取り組む企業向けに、低金利での融資や優遇金利を適用する「健康経営融資」を提供しています。
  • 自治体からの表彰: 各自治体でも健康経営を推進する企業への表彰制度や支援策があります。
  • 新たなビジネス機会: 健康経営を通じて得られた知見やネットワークが、新たな事業展開やコラボレーションに繋がる可能性もあります。

ホワイト500認定がもたらすメリットや、乗り越えるべきデメリット・課題については、以下の記事で詳しく解説しています。
 ホワイト500の認定取得に意味はある?メリット・デメリットや課題点も解説!

ホワイト500認定を目指すための申請ステップと準備・注意点

ホワイト500認定を目指す道のりは、戦略的な準備と継続的な取り組みが不可欠です。

4.1. 申請スケジュール令和7年度と具体的なプロセス

健康経営優良法人認定の申請プロセスは、以下のスケジュールで進行します。

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貴社がホワイト500を目指す場合、このスケジュールを見据え、遅くとも調査票公開の数ヶ月前には準備を開始することが望ましいでしょう。大規模法人では、関係部署との連携やデータ収集に時間がかかるため、余裕を持った計画が重要です。

具体的な申請の流れは以下の通りです。

  1. 健康経営の実施とデータ収集: 健康経営施策を実施し、そのエビデンス(データ、記録など)を収集・整理します。
  2. 健康経営度調査票の回答・提出: 最新版の調査票をダウンロードして、自社の取り組みを正確かつ詳細に入力し、申請します。
  3. 審査: 提出された調査票に基づき、認定委員会による審査が行われます。必要に応じてエビデンスの追加提出を求められることもあります。
  4. フィードバックシートの受領:認定発表に先立ち、提出企業へ偏差値や順位の速報値が送付されます。
  5. 認定発表: 審査を通過した法人が、健康経営優良法人やホワイト500として正式に認定・公表されます。

4.2. 経営層を巻き込んだ推進体制の構築

健康経営を成功させるには、経営層の強いリーダーシップとコミットメントが不可欠です。健康経営は人事部や健康管理室だけの問題ではなく、全社的な経営戦略として位置づける必要があります。

  • 経営層による方針表明: 健康経営を経営理念や行動指針に明記し、社内外にその重要性を発信します。
  • 推進責任者の任命: 経営層の中から健康経営推進の責任者を明確にし、リーダーシップを発揮してもらう体制を整えます。
  • 全社的な協力体制: 人事、総務、現場部門など、各部署が連携し、健康経営推進に協力する体制を構築します。

4.3. データに基づいた現状把握と効果的な施策策定

漠然と健康施策を行うのではなく、自社の健康課題をデータに基づいて正確に把握することが重要です。

  • 健康診断結果の分析: 特定健診の受診率、肥満者率、有所見者率などを分析し、具体的な健康課題を特定します。
  • ストレスチェック結果の活用: 従業員のメンタルヘルスの状況を把握し、職場環境改善や個別のケアに繋げます。
  • 従業員アンケート: 従業員の健康意識やニーズ、現状の施策への満足度などを把握します。

これらのデータに基づいて、具体的な目標を設定し、効果的な健康施策を策定・実施します。

4.4. 継続的なPDCAサイクルと効果測定の重要性

健康経営は、一度認定を取得したら終わりではありません。継続的な改善が重要です。

  • 計画(Plan: データに基づき、健康課題を解決するための目標と施策を計画。
  • 実行(Do: 計画した施策を実施。
  • 評価(Check: 施策の効果を測定し、目標達成度や改善点を評価。
  • 改善(Action: 評価結果に基づき、次期の計画に反映させ、より効果的な施策へと改善。

このPDCAサイクルを回すことで、健康経営の質を高め、持続可能な取り組みとすることができます。

4.5. 申請における担当者が陥りやすい課題と対策

ホワイト500の申請プロセスは、大規模法人にとって初めての経験となることが多く、担当者が直面しやすい課題がいくつかあります。

  • エビデンス(根拠)不足: 施策を実施していても、記録やデータが不十分で、調査票で適切にアピールできないケースがあります。日頃から施策の実施記録や効果測定データを整理しておくことが重要です。
  • 関係部署との連携不足: 健康経営は人事部単独では完結しません。関係部署との密な連携が不可欠です。
  • 調査票の設問解釈の誤り: 複雑な設問や専門用語が多く、誤って解釈すると適切な評価が得られない可能性があります。ガイドラインを熟読し、疑問点は事務局に確認するなどして正確な理解を心がけましょう。

これらの課題に対しては、早期からの準備、社内での情報共有の徹底、そして必要に応じて外部の専門家からのサポートを受けることも有効です。

4.6.ホワイト500認定企業の取り組み例

ホワイト500認定企業は、業種や規模の特性に応じた多様な健康経営施策を展開しています。一例として以下のような取り組みが見られます。

  • 多様な健康促進プログラム: 運動促進イベント、食生活改善セミナー、禁煙プログラム、メンタルヘルス研修、ヘルスリテラシー研修などを継続的に実施。
  • 働き方の改革と両立支援: 長時間労働の是正、柔軟な働き方(テレワーク、フレックスタイムなど)の導入、育児・介護と仕事の両立支援策の充実。
  • 経営層の強いコミットメント: トップ自らが健康経営の重要性を発信し、積極的に施策に参加・推進。

これらの取り組みは、単発で終わるものではなく、PDCAサイクルを回しながら継続的に改善していくことが共通しています。

担当者が知りたい!ホワイト500に関するよくある疑問と最新動向

Q1. 健康経営優良法人とホワイト500の違いは?

健康経営優良法人は、大規模法人部門と中小規模法人部門があり、ホワイト500はそのうちの大規模法人部門で特に優れた上位500法人に与えられる称号です。つまり、ホワイト500は「健康経営優良法人(大規模法人部門)」の中の、さらに狭き門を突破したトップランナーという位置づけになります。

Q2. 認定されなかった場合は?翌年再チャレンジは可能?

健康経営優良法人に認定されなかった場合でも、翌年以降の再チャレンジは可能です。認定されなかった場合、健康経営度調査の結果がフィードバックされるため、どの項目が弱かったのかを把握し、次年度の健康経営施策や調査票の回答内容を改善して再度の申請を目指しましょう。

Q3. 認定後も継続して認定されるには?

健康経営優良法人の認定は、一度取得すれば永続するものではありません。毎年申請を行い、取得・更新するものです。
つまり、以下のように時代に合わせたアップデートや、施策の継続を求められます。

  • PDCAサイクルの継続: 健康施策を継続的に実施し、評価・改善を繰り返す。
  • 法令遵守と情報更新: 最新の法令や制度変更に対応し、健康経営の取り組みを常にアップデートする。
  • 従業員の課題把握: 従業員の健康課題を捉え、施策内容を柔軟に見直す。

Q4. ホワイト500と関連する他の認証制度(健康経営銘柄など)は?

健康経営に関する表彰制度は、ホワイト500以外にも存在します。

  • 健康経営銘柄: 経済産業省と東京証券取引所が共同で、健康経営優良法人大規模法人部門の上位500社から、原則1業種1企業、最大5企業の健康経営に優れた企業を選定する制度です。銘柄選定においては、社外および投資家への情報開示や、ROEの高さに一定の加点があります。
  • 各自治体の健康経営表彰制度: 各地方自治体でも、地域に根差した健康経営を推進するため、独自の表彰制度を設けている場合があります。

まとめ:ホワイト500認定で、企業と従業員の未来を拓く

本記事では、「ホワイト500とは何か」から、その認定基準、企業が享受できるメリット、そして具体的な申請に向けた準備と注意点について解説しました。

ホワイト500認定は、単なる企業の社会的評価を高めるだけでなく、優秀な人材の確保、従業員のエンゲージメント向上、そして生産性向上といった、企業の持続的な成長に不可欠な経営戦略です。
健康経営の推進は、一朝一夕に成し遂げられるものではありません。経営層の強いコミットメントと、担当者の継続的な努力、そして全従業員の協力があって初めて実現します。
貴社がホワイト500を目指すことは、従業員の健康を守り、活き活きと働ける職場環境を築き、ひいては企業の未来を拓く挑戦に他なりません。
ぜひ本記事を参考に、貴社の健康経営をさらに深化させ、ホワイト500の認定を達成していきましょう。

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