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ワークエンゲージメント(ワークエンゲイジメント)とは?
目次
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ワークエンゲージメント(ワークエンゲイジメント)とは?
本記事では、ワークエンゲージメントの基本的な概念からその効果、さらには具体的な向上方法までを詳しく解説します。
エンゲージメントとワークエンゲージメント、従業員エンゲージメントの違い、よく言われる燃え尽き症候群(バーンアウト)との関係性、ワークエンゲージメントの測定方法や向上施策などご紹介していきます。
従業員エンゲージメントとワークエンゲージメントの違い
エンゲージメントといってもビジネスにおいては従業員エンゲージメントとワークエンゲージメントの2つの概念があります。
もしあなたの職場でエンゲージメントの状態を調べたり、向上のために何かしらの施策を検討しようとしているのであればこの違いを知っておく必要があるでしょう。
まず従業員エンゲージメントは、従業員が所属している会社や組織に対して貢献しようとする意欲のことです。
言い換えますと「個人と組織の関係性」を意味しています。会社に対する愛着心といっても良いでしょう。
これに対し、ワークエンゲージメントは、行っている業務に対してどれだけ情熱を持っているか、どれほど集中できるかに焦点を当てています。
言い換えますと「個人と仕事の関係性」を意味しています。
従って、企業は両者の違いを理解した上で、適切な施策を講じる必要があります。
ワークエンゲージメントが高まることで、従業員は自身の役割により深く関与し、成果を上げるための努力を惜しまなくなります。
さらに、ワークエンゲージメントは、従業員が組織のビジョンと価値観に共感し、目標達成に向けて積極的に行動する動機付けとなるでしょう。
従業員満足度とワークエンゲージメントの違い
従業員満足度は、職場環境や待遇に対する従業員の満足感を意味します。
企業が行っている福利厚生の内容や給与、労働環境など具体的な物事に対して使われますので、ワークエンゲージメントとは異なる概念となります。
ただし、全く関係がないわけではなく、従業員満足度はエンゲージメントを高める一要因にはなりえます。
気を付けていただきたい点としては、一般的に満足度というのは一時的なものになりやすく(例えば賞与後に満足度が向上したが、その後徐々に低下するなど)、エンゲージメントは持続性があるということです。
ワークエンゲージメントを高めるメリット
ワークエンゲージメントを高めるメリットについて解説します。
■離職率の低下
ワークエンゲージメントが高い従業員は、業務を通じて自己成長や達成感を味わいやすいため、離職のリスクが低くなるといわれます。
ワークエンゲージメントの高い従業員が増えれば組織の競争力も向上します。
注意点としては、ワークエンゲージメントが高い人材が多いというのは良いことですが、高まっていない従業員にとっては居心地が悪い職場になりがちです。
高まるまでの間は、1on1MTGなどで定期的なフォローが重要です。
■人材の確保
若手社員は、自己成長を求める傾向が強く、ワークエンゲージメントの高い職場は非常に良いポイントとなるでしょう。
いわゆるブラック企業であるというのは論外ですが、従業員同士が適度に刺激し合い、成長できるフィールドを提供することで、定着性も高まります。
■顧客満足度(CS)の向上
ワークエンゲージメントが高い従業員は、顧客対応にも積極的に取り組むため、顧客満足度の向上にも寄与します。
顧客との接点において、ワークエンゲージメントの高い従業員は、信頼関係を築き、顧客のニーズを深く理解することができます。
さらに、顧客満足度が向上することで、企業はリピーターを増やし、ブランドの信頼性を高めることができます。
■心理的安全性の確保
ワークエンゲージメントが高い職場では、心理的安全性が確保され、従業員のメンタルヘルスも改善される傾向があります。
なぜなら、業務に対してネガティブな視点から互いに否定し合うのではなく、どうすればより良くなるかの観点から闊達な意見交換が行われる職場になりやすいためです。
心理的安全性が確保された環境では、従業員は自由に意見を述べ、失敗を恐れずに挑戦できるため、組織全体の成長につながります。
ワークエンゲージメントの高い職場は、従業員が安心して働き、自分の意見を自由に表現することを促す環境を提供します。
ワークエンゲージメント向上に必要な2つの要素
ワークエンゲージメントを向上するうえで、重要な2要素について解説します。
■個人の資源
個人のスキルや熱意はエンゲージメントの基盤です。個人の資源を最大限に活用することで、従業員は自己成長を実感し、組織の目標達成に向けて積極的に貢献する意欲を持つようになります。
このために、OJTだけでなく従業員のスキルアップ教育を提供する、自分の仕事と会社、社会との関りについて議論するワークショップを行うとよいでしょう。従業員同士が互いに価値観を語り合い、違いについて理解を深めることも有効です。
■仕事の資源
仕事の資源は、上司や同僚からのサポート、適切なチャレンジを含みます。これらが整っている職場は、エンゲージメントを高める環境を提供します。サポートの充実は、従業員が自信を持って業務に取り組むための土台を築き、チャレンジは新たなスキルの習得と成長の機会を提供します。このために、管理職への教育が特に重要になります。部下はそれぞれ考え方ややる気のスイッチが異なるものです。教育を通じて関わり方の引き出しを増やし、個性にあったマネジメントが必要です。
ワークエンゲージメントと似て非なるもの
■ワーカホリズム(ワーカホリック)
ワークエンゲージメントはポジティブな仕事への没頭を指す一方、ワーカホリズムは強迫的な労働習慣を指します。この違いを理解することが、健康的な職場を作る第一歩です。ワークエンゲージメントの高い職場では、従業員は働く喜びを感じ、バランスの取れたライフスタイルを維持することができます。一方でワーカホリズムな状態とは、強迫的な観念によって業務を進めている状況を指します。仕事をしていないと気が休まらない、落ち着かない、などのネガティブな反応によって影響を受けている状況です。
気を付けなければならないのは、よく注意観察しないと両社とも熱心に仕事をしている状態と思われてしまう点です。管理職としては日々の声がけ、異常な勤怠状況などから早期に見抜く必要があります。
■バーンアウト(燃え尽き症候群)
バーンアウトは、先ほどのワーカホリックや過度なストレス状況が続いた結果、エネルギーが枯渇した状態をいいます。ワークエンゲージメントが高い人は、仕事に喜びを感じたり没頭する面がある一方で、勤怠状況は乱れておらず、プライベートにも価値を見出すことができているのが特徴です。バーンアウトはそうしたことができないため、エネルギーを使う一方となった結果に起きてしまう状況です。
意欲が下がり集中力も保ちにくく、食欲が低下するなどの種々の症状が現れます。まとまった休暇をとる、誰かに相談し、今の状況を整理していく、マネジメントによる業務配分の見直しなど早急な対応が求められます。
ワークエンゲージメントの測定方法
ここでは代表的な測定方法についてご紹介します。
■ UWES(Utrecht Work Engagement Scales)
UWESは、ワークエンゲージメントを測定するための信頼性の高いスケールで、活力、熱意、没頭の三つの要素で構成されます。これらの要素は、従業員がどの程度仕事に没頭し、組織に貢献しているかを評価するための基準となります。さらに、UWESを活用することで、企業は従業員のワークエンゲージメント状況を把握し、組織的な対策を検討するために用いられます。
■ MBI-GS(Maslach Burnout Inventory-General Survey)
MBI-GSは、バーンアウトの兆候を早期に発見するためのツールです。バーンアウトのリスクを知ることで、適切な対策を講じ、エンゲージメントを高めるための施策を導入することが可能になります。さらに、MBI-GSを活用することで、企業は従業員のストレス状況を把握し、対策を検討することができます。
■ OLBI(Oldenburg Burnout Inventory)
OLBIも、バーンアウト状況を測定するためのツールで、エンゲージメントの向上に役立てることが可能です。「疲労感」「離脱感」から構成されています。
■ 当社のサーベイ A’Uno
A’Unoは、ワークエンゲージメントを測定するサーベイが盛り込まれています。さらに、A’Unoは、ストレスチェックとしても活用できますので、互いのサーベイを分けて導入する手間も省けます。
関連サービス・・・従業員のウェルビーイング向上ならA'Uno(アウーノ)
ワークエンゲージメントの高め方
一般的な向上施策についてご紹介します。
■職場環境改善
ワークエンゲージメントを高めるために職場環境の改善は必須といっても過言ではありません。なぜなら、職場環境が悪化している職場では、ワークエンゲージメントに加えメンタルヘルスに関わるリスクが向上し、労働安全衛生上の問題や離職、休職などさまざまな課題が増加するためです。そのために、ワークエンゲージメントを高める以前にストレスチェックの集団分析結果から、自社にとってのメンタルヘルス面のリスクを洗い出す必要があります。
関連サービス・・・サーベイからソリューションへ 職場環境改善サービス
■管理職へのアプローチ
管理職がワークエンゲージメント向上にとって重要な存在です。彼らへの適切なトレーニングとサポートが必要です。管理職は、組織のビジョンを伝える役割を担っており、彼らのリーダーシップスキルの向上は、エンゲージメントを高めるために不可欠です。効果的なコミュニケーション、フィードバック、チームビルディングの促進が求められます。まずは管理職自身がワークエンゲージメントの重要性を理解することが必要ですので、基本的な研修から行うことをお勧めします。
関連サービス・・・ヘルスケア研修「LLax training」
公平で透明性のある評価制度は、従業員のモチベーションを維持し、エンゲージメントを高める上で重要です。評価基準を明確化し、従業員一人ひとりの成果を正当に評価することで、組織全体が一体となり、成長志向の文化が育まれます。
■1on1 MTG
1on1ミーティングは、先の管理職研修の効果を発揮させる場として最適です。個々の従業員は個性や価値観が異なります。一律同じ関わり方をするのではマネジメントに限界が生まれ、管理職が熱心に関わったとしてもワークエンゲージメントが高まらない従業員も必ず出てきます。そのために、マネジメントの基本である1体1の場を活用してもらうため、研修と同時に1on1ミーティングの導入をお勧めします。
まとめ
お時間のない方向けに簡単にまとめさせていただきます。ワークエンゲージメントは、従業員が仕事に対して情熱や集中力を持ち、組織の目標に積極的に関与する状態を指します。エンゲージメントと従業員エンゲージメント、満足度との違いを理解し、向上させることで離職率低下や顧客満足度向上、心理的安全性の確保など多くのメリットがあります。測定にはUWESやMBI-GSなどのツールが用いられ、職場環境改善や管理職のサポート、評価制度の見直し、1on1ミーティングなどの施策が効果的です。高いワークエンゲージメントは、従業員の自己成長や組織の競争力向上に寄与します。
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