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3分で読める!人事お悩み相談室~「マイ・パーパス」は誰にでも必要なのでしょうか~

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普段より私どもは、メンタルヘルス対策や健康経営をご支援させていただく中で、人に関するさまざまなご相談をいただきます。このコラムは、多くの人事の方々からいただくお悩みにお答えする形でどうしたら、従業員の皆さまに、より元気に、より幸せに働いてもらえるのか、考えていこうという内容になっております。

最近、ある企業様で「マイ・パーパスを考える」というテーマの研修をさせていただいたことから、パーパスについてよく考えていました。

パーパスとは「目的」という意味の言葉ですから、マイ・パーパスとは、広くは「自分の生きる目的」、仕事上では「自分が仕事をする目的」という意味になるでしょう。

自分は何のために生きるのか・・・

自分は何のために仕事をするのか・・・

皆さんは、深く考えてみたことがありますでしょうか。

私自身は、そのようなことを内省的に考えるのは好きなタイプで、四六時中考えていると言ってもいいほどですが、それでも正直なところ「これだ!」と胸を張って断言できるほどのものは、見つかっていません。「見つけた!」と思って邁進したけれども大きく挫折したり「これかな?」と思って進んでみたけれども行き止まりになったり、そんなことを繰り返しています。それくらい、難しく、奥深いテーマなのだと思います。

そもそもキャリア形成のスタイルには「山登り型」と「川下り型」があると言われています。

「山登り型」は、自分の「なりたい姿」がある程度明確で、そこに旗を立て旗を仰ぎ見ながら山を登るように、一歩一歩目標をクリアしていくようなスタイルです。
「川下り型」は、あらかじめ決めたゴールはなく、川の流れに乗るように目の前の仕事に取組み、時々分岐点が来ればより良いと思う方を選び、急流や滝などの困難があってもそれもうまく乗りこなしながら、いつかは大海に出るというスタイルです。

私の感覚では「川下り型」の人に「あなたのパーパスは!?」と聞いても、戸惑われることが多いように思います。「いや・・・目の前の仕事を一生懸命やるだけですから」というようなお答えが返ってきます。ですから「マイ・パーパスは特にない」というスタイルもあっていいのではないか・・・とも思います。

ただ、そこでもうひとつ思い出したのが、モチベーション・マネージャー資格の勉強をしていたときに習った「フィット理論」です。「フィット理論」では、働く人は周囲の環境にフィットできているかどうかによって、仕事への満足度や組織へのコミットメントが大きく変化すると考えます。

そして、フィットの種類としては、主に以下の4つが挙げられます。

1. 仕事で求められる要件と、個人の遂行能力のフィット

2. 個人が持っている欲求と、仕事でその欲求が充足される機会とのフィット

3. 個人が重視する価値観と、組織が重視する価値観とのフィット

4. 個人のパーソナリティと、組織の文化・特性とのフィット

マイ・パーパスを考えるというのは、上記3.を想定して、マイ・パーパスと組織のパーパスの接点を見つけよう、それによって組織へのコミットメントや、ワーク・エンゲージメントを向上させよう、という試みですね。

ただ、それ以外にも、

1.であれば、「この仕事は、自分の力を上手く使えるから楽しい」とか、

4.であれば、「この会社は、何か居心地がいい」とか、

そういう方向でも、組織へのコミットメントやワーク・エンゲージメントは高まると思います。

モチベーション・マネージャーの勉強をしているとき、先生がおっしゃっていたのは、

「価値観に正解はない、という立場に立つべき」

「マネージャーは、無理に自分の価値観に部下を染めようとしないこと」

「どのようにすれば、異なる価値観を認め合いながら、チームの目的を達成できるかと考えよう」

ということでした。

仮に「マイ・パーパス」として明確に言葉にできるものはなくても、誰しも「こういうタイプの仕事は好きだ」とか「こういう仕事のやり方は自分らしく力を発揮できる」というものはあると、私は考えています。上司と部下という関係性においても、同僚同士という関係性においても「その人らしさ」を認め合いながら、お互いに得意なことを発揮しあって、結果的に組織の目的・目標に近づいていけたなら最高だろうな・・・と思います。

------------☆筆者プロフィール☆------------

桜又 彩子(さくらまた あやこ)

SOMPOヘルスサポート株式会社
シニアゼネラルコンサルタント

システム開発会社の人事部で7年間勤務の後、
2007年よりSOMPOヘルスサポートにてメンタルヘルスおよび健康経営の
コンサルティング業務、研修講師などに従事。

【保有資格】

特定社会保険労務士 
キャリアコンサルタント
シニア産業カウンセラー
ポジティブ心理学プラクティショナー
健康管理士一般指導員  など