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病気

心身症について

心身症とは・・

心身症とは「身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし、神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する」(日本心身医学会1991年)と定義されています。そのため、心身症と診断されるには、身体疾患があることが必要であり、器質的障害 胃潰瘍、十二指腸潰瘍など と機能的障害 緊張型頭痛、過敏性腸症候群など に大きく分けられます。

また心身症が現れやすい性格特性として、「過剰適応」と「失感情症」があげられます。「過剰適応」とは、自分の本当の感情を抑え、周囲の期待に応えて過剰な努力を払うことを言い、人から頼まれると断れずに気を遣う真面目で頑張り屋のタイプの方に多いと言われています。また「失感情症」は自分の感情の変化に気づきにくく、感情をうまく言葉で表現するのが苦手で感情を抑圧しやすい方に多いと言われています。

どんな病気がある?

心身症の種類は非常に多く、全身にさまざまな症状で現れます。

循環器系

本態性高血圧症、本態性低血圧症、心臓神経症、虚血性心疾患など

呼吸器系

気管支喘息、過換気症候群、神経性咳嗽など

消化器系

消化潰瘍、慢性胃炎、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、神経性嘔吐、空気嚥下症など

内分泌系

神経性食欲不振症、神経性過食症、糖尿病、甲状腺機能亢進症、心因性多飲症など

神経系

偏頭痛、筋緊張性頭痛、眼瞼痙攣など

骨筋肉系

慢性関節リウマチ、慢性疼痛、腰痛症、頸肩腕症候群など

皮膚科領域

慢性蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、多汗症など

産婦人科領域

月経前症候群、月経異常、続発性無月経、更年期障害など

眼科領域

眼精疲労、視力低下、飛蚊症、眼痛

耳鼻科領域

メニエール症候群、耳鳴り、心因性難聴など

歯科・口腔外科領域

顎関節症、三叉神経痛、舌痛症 など

これらの疾患が常に心身症というわけではないのですが、過剰なストレスが関与し、再発を繰り返し、慢性化している場合は可能性が高いと言われていいます。

治療について

心身症は心と身体の両方から治療することが必要で、『薬物療法』と『精神療法』があります。『薬物療法』は、各病気に応じた薬物による治療を行います。『精神療法』には、カウンセリングや自律訓練法などが挙げられます。カウンセリングを受けることにより、自分の行動パターンや性格傾向を知り、同じ症状を繰り返し発症させないためには、具体的にどのような行動をとるとよいのか、働きかけが行われます。自律訓練法は、1932年にドイツの神経科医シュルツによって体系化されたもので、科学的な催眠に誘導された人が、腕や脚の温かさを報告するという事実から、その感覚を自己暗示により生じさせ、催眠状態をつくることを考案したことから始まりました。カウンセラーなどから指導を受けることで自分自身でも行えるようになります。自律訓練法により、ゆったりとくつろいだ状態が、自力で得られ、緊張・不安の軽減や疲労の回復、身体の痛みや精神的苦痛が緩和されるなどの効果があげられます。

ストレスが原因で身体の変調を自覚した場合、「気のせい」などと片付けずに、早めに受診しましょう。身体の出しているサインに早く気が付くことができれば、心身症を予防することができます。またご本人がストレスを自覚していない場合は、周囲の方の気づきが大切です。声をかけて受診を促しましょう。

参考:「産業精神保健マニュアル」
日本産業精神保健学会(編)

ストレスがたまったときには、リラックスできる時間を日常生活の中にもつことが大切です。ゆっくり腹式呼吸をする、ぼんやりと窓の外を眺める、ゆったりとお風呂に入る、軽くストレッチをする、好きな音楽を聴くなど、気軽にできることからまずはやってみましょう。