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【セミナー特集】フィードバックシートから読み解く!健康経営度調査の現状と次年度対策のポイント
目次
フィードバックシートから読み解く!健康経営度調査の現状と次年度対策のポイント

健康経営優良法人認定を目指す企業にとって、健康経営度調査票のフィードバックシートは、自社の立ち位置と次なる一手を考える上で欠かせない羅針盤です。近年、認定を目指す企業は大規模法人で4175法人社を超え、特に「ホワイト500」認定の競争は激化の一途を辿っています。
本コラムでは、シニアゼネラルコンサルタントとして多くの企業の健康経営を支援してきたSOMPOヘルスサポート社 櫻又が登壇した「フィードバックシートから見る 健康経営度調査の傾向と次年度対策」セミナーをもとに、最新のフィードバックシートの傾向と、次年度の健康経営度調査票対策として企業が注力すべき重要ポイントを解説します。
競争激化!健康経営度調査の現状と「土台作り」の重要性
令和7年度の健康経営度調査は、回答企業が大規模法人で3765社を超え、ホワイト500のボーダーラインは偏差値62を超えるなど、レベルが一段と高まっています。このような状況下で高評価を得るためには、従来の施策に加え、戦略的な視点と深掘りした取り組みが求められます。
特に、配点が高くなったのが「健康経営の実践に向けた土台作り」と「健康経営施策の効果検証・改善」の領域です。以前は個別施策として扱われがちだった項目が「土台作り」に組み込まれたことで、健康経営の基礎となる部分がより重視される傾向が明らかになりました。
【「土台作り」で注目すべきポイント】 経済産業省のセミナーでも頻繁に話題に上るのが、以下の項目です。
- 労働力確保: 「性差・年齢に配慮した職場づくり」という新カテゴリーが設定され、女性の健康課題、高年齢者の健康、育児・介護、がんなどの傷病との両立支援がこの「土台作り」のカテゴリーに組み込まれました。これは、多様な人材が長く働き、活躍できる組織づくりが企業の経営課題として不可欠であるというメッセージです。
- 人事制度との連携: 上記の多くは、健康施策というよりも人事制度に関わる課題です。健康経営事務局単独では解決が難しいことも多いため、人事部門との密な連携が不可欠です。中長期的な視点で制度を整える準備を進めましょう。
- PHR(パーソナル・ヘルス・レコード): 現在は「PHRを活用していますか?」といった表面的な問いが多いですが、今後は「どのように活用しているか」「効果は出ているか」など、より踏み込んだ設問が増える可能性があります。PHRの活用戦略は継続的に検討すべきテーマです。
KGI(重要目標達成指標)設定の真髄:経営陣との対話が鍵
令和7年度調査票の最大のポイントは、冒頭のQ 17で「健康経営の推進方針」「目標」、そして「KGI(重要目標達成指標)」の設定が求められたことです。これは、健康経営が経営戦略と深く連動していることを明確にするものです。
【新しい戦略マップで振り返るKGIの意義】 健康経営ガイドブック改訂版で示された新しい戦略マップでは、「健康課題」「健康風土の醸成」「KGI」といった要素が強調されています。この戦略マップは、健康経営担当部門と経営陣が議論し、接点を持つためのメッセージが込められています。単にフォーマットに沿って作成するだけでなく、自社の実情と経営戦略に合致するKGIを設定することが重要です。
【KGI設定の3つの切り口】 有識者の見解として、KGI設定には以下の3つの切り口が重要とされています。
- 「社長が最も気にしている指標は何か?」: 経営陣が最も重視する経営課題と健康経営を結びつける視点です。経営層との対話を通じて、自社にとって固有かつ重要なKGIを見出しましょう。
- 「自社の本業にとって最も解決すべき重要な健康課題は何か?」: 事業特性や従業員の状況に応じた健康課題を深く掘り下げ、その解決が本業にいかに貢献するかを具体的に言語化します。例えば、運輸業であれば「日中の眠気の排除」がKGIになり得ます。
- 「3〜5年の中長期スパンで目標達成が具体的にイメージできるか?」: KGIは具体的な成果がイメージできるものであるべきです。エンゲージメントのように多岐にわたる要素が絡む指標よりも、具体的な施策と結果が結びつきやすい指標を選ぶ、あるいはその繋がりを明確に仮説立てすることが重要です。
【戦略マップ&KGIに悩まれたら、SOMPOヘルスサポートにご相談ください】
経営トップのコミットメント:トップダウン推進の証拠
健康経営を推進するには、経営層のコミットメントが不可欠です。調査票では、経営トップがトップダウンで推進しているかを測る複数の設問が用意されています。
- 経営トップからの発信: Q 17では従業員へ、Q 18では社外へ、経営トップ自らが健康経営の方針やKGIなどを発信しているかが問われます。
- 経営会議での議論とレビュー: Q 23では健康経営が経営会議で議題として議論・決定されているか、Q 73(KGIの効果検証)では、その結果がどのレベルでレビューされているかが問われます。
これらの設問は、経営層の関与なくしては健康経営が進展しないという事務局側の認識の表れです。担当者は、これらの設問を根拠に、経営層に対し、より積極的な関与を促す機会と捉えるべきです。
実際に、アカデミアによる効果分析では、企業の営業利益と「喫煙者割合」「十分な休養(睡眠)」「運動習慣」に相関関係が見られるという研究結果も出ています。経営層に、健康経営が直接的に経営成果に繋がることを示唆するデータとして活用することも有効です。
効果検証の壁を越える:データに基づいた「自社らしさ」の追求

Q 73では、設定したKGIの効果検証が求められます。特に「具体的な取り組みと最終目標指標との間に相関・因果関係があるか、定量的統計的に検証できているか」という選択肢は、テクニカル的にもリソース的にもハードルが高いとされています。
【効果検証の現状と課題】 事務局のデータでは約4割の企業がこの検証を実施しているとされますが、実情としてはデータ分析スキルや専門性、リソースが必要とされるため、自社単独での実施は容易ではありません。しかし、他社との差別化を図り、より説得力のある健康経営をアピールするためには、今後さらに重要な項目となるでしょう。
【効果検証のアプローチ例】
- 因果分析: 例えば、プレゼンティズム(WFun)をKGIに置く場合、パス図を用いて「何がプレゼンティズムの改善に強く影響するか」を分析します。心理的ストレス反応、職場環境(対人関係、情緒的負担、役割)、仕事の適性や意義、尊重報酬、上司・同僚のサポートなどが関連要因として特定できます。これにより、具体的な施策の優先順位付けと、その施策がKGIにどう影響するかという仮説構築が可能です。
- 相関分析: 生活習慣データ、ストレスチェック、エンゲージメントデータなど、自社で保有する様々なデータをKGIと紐付け、相関関係を分析します。例えば、野村不動産様の事例では、生活習慣、運動、ヘルスリテラシー、睡眠と生産性(プレゼンティズム)の相関が分析されており、施策の優先順位付けに活用されています。
これらの分析結果を戦略マップに落とし込み、「この施策がKGIを改善する」という仮説と実績を明確にすることで、説得力のある健康経営を実現できます。
エビデンス資料の徹底管理:次年度に向けた必須の備え
健康経営度調査で認定されるためには、回答内容の裏付けとなるエビデンス資料の整備が極めて重要です。昨年11月末には、多くの企業に対し、特定の設問に関する資料提出を求めるメールがランダムに送付されました。
【資料提出を求められた設問例】Q 21、Q 50、Q 51、Q 53、Q 62 ※該当設問はダウンロード資料をご参照ください
特にQ 53の「保健指導」については、指導記録そのものまで求められるなど、詳細な確認が行われました。これは、産業医面談=保健指導と解釈されるケースが多い中で、調査票が求める「生活習慣指導」としての保健指導が実質的に行われているかを確認するためです。
これらの資料は、通常1週間という短期間での提出が求められます。メールが来てから準備するのでは間に合わないため、日頃から以下の点を徹底することが不可欠です。
- エビデンスの文書化: 各施策や制度が「どのような目的で、誰が、いつ、どのように実施したか」を示す資料(文書、メール、写真など)を常に整備する。
- 指導記録の明確化: 特に保健指導や面談においては、実施内容や指導履歴がわかる記録を残す。
- 即座に提出可能な状態を維持: どの設問について問われても、すぐに資料を特定し、説明を添えて提出できる体制を構築する。
従業員に「届く」健康経営で、自社らしい価値を創造する
「百社あれば百通りの健康経営がある」というメッセージは、突き詰めれば「自社の従業員にしっかり届く健康経営」を追求することです。自社の従業員の気質、仕事内容、職場の環境、業種などを考慮した「御社らしい健康経営」は、従業員の主体的な参加を促し、「自分たちのことを考えてくれている」というポジティブな受け止めに繋がります。
従業員が主体的に参加する健康経営は、参加率やアウトカムといった調査票の評価項目にも好影響を与え、結果として高い評価へと繋がります。
次年度の健康経営度調査票に向けて、貴社が実践している健康経営を余すことなく、かつ効果的に調査票に反映させるためにも、ぜひ今回ご紹介したポイントを参考に、戦略的な準備を進めてください。
【セミナー資料ダウンロードのご案内】
今回ご紹介したセミナーで実際に配布された資料をご用意しております。
従業員の健康管理や生産性向上、健康経営推進を具体的に進める上で、ぜひご活用ください。


