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大企業向け ストレスチェックベンダー切り替え 失敗しない評価ポイント

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毎年のストレスチェック、正直「もっと良くできるはず」と感じていませんか? 回答率が頭打ちになり、集団分析の示唆が浅い、あるいは問い合わせの返答が遅い……。加えて、当初の見積もりにはなかった「別料金」が後からじわじわと発生し、予算を圧迫する……。 そんな不満が続くと、「次こそは失敗したくない」とベンダーの切り替えを検討したくなるものです。 特に従業員数が多い企業の人事担当者にとって、ストレスチェックとは単なる制度の実施に留まらず、「成果が出る施策」として有効に活用する必要があるためです。

切り替えを考えるサインと実際の事例

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現状の運用に以下のような課題がある場合、それはベンダーのレベルと自社のニーズが合わなくなっているサインかもしれません。代表的なケースを解説します。

運用負荷が軽減されない
社内の問い合わせ対応に追われる、拠点間の調整に手間がかかる、実施後は医師面接の予約対応に奔走する。このような「同じ課題」を毎年繰り返していませんか?ベンダーを利用する大きなメリットの一つに社内工数の削減が挙げられますが、ベンダー側の対応力が不足していると、結果として社内の担当者は疲弊してしまいます。

集団分析結果から得られる示唆が物足りない
集団分析のレポートを受け取り、毎年ベンダーに「報告会」を実施してもらっているものの、基本的な数値の読み解き方や、資料を見ればわかるレベルの解説に終始していることはないでしょうか。単に数値の高低を指摘されるだけの報告会であれば、回数を重ねれば社内で内製化することも十分に可能です。

詳細な料金が事前に把握しづらい
1名あたりの単価は非常に安価だが、自社の希望に沿うよう運用設計を依頼したところ、結果的に想定外の追加費用を支払うことになった。このような経験はないでしょうか。対応実績が豊富なベンダーであれば、ニーズの高いカスタマイズには慣れているため、事前に工数や費用を具体的に提示できます。一方で、そうでないベンダーの場合は見通しが曖昧で、最終的に予算を大幅に超過してしまう可能性があります。

職場環境改善のソリューションが不足している
ストレスチェックは「実施して終わり」ではありません。本来重要なのは、高ストレス者へのフォローや職場環境改善へのアクションです。しかし実際は、システムの提供のみに留まり、事後対応の提案が不足しているベンダーも見受けられます。これには理由があり、職場環境改善のソリューションを提供するためには、公認心理師などの専門家や経験豊かなコンサルタントを抱えている必要があるためです。

健康経営など他施策との連動
近年、ストレスチェックの結果を健康診断データや勤怠データと掛け合わせ、健康経営の指標として活用する企業が増えています。別々の施策で収集したデータをバラバラにせず、有益な情報として加工・分析できるノウハウを持ったベンダーは、それほど多くありません。

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ベンダーの特性と向き不向き

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ストレスチェックを提供するベンダーによって、得意分野は大きく異なります。ベンダー変更を検討される場合は、自社の課題感にマッチするタイプを選ぶことが重要です。

EAP(従業員支援プログラム)系
強み:心理専門職を多く抱え、カウンセリングなどの相談対応、研修などの人的サービスに強いのが特徴です。全国に公認心理師等のネットワークを持ち、従業員が気軽に相談できる環境を整えるのが得意です。専門性が高く、個別事例の対応経験も豊富な場合が多いです。
留意点: 人的サービスの提供は得意ですが、システム開発を外注している場合があり、UI/UXや分析機能などの使い勝手、アップデートの柔軟性に欠ける場合があります。また、大規模配信時のサーバー負荷対策については、事前に必ず確認するようにしましょう。
相性の良い企業: 従業員のメンタル不調が発生しており、事後対応を中心とした対策を重視したい企業
相性の悪い企業: 事後対応よりも予防を目的にしている企業、データを多角的に活用したい企業

HR(人事コンサル)系
強み: ストレスチェックデータを人事データと連携させたり、人的資本経営におけるKPI設定に役立てたりすることが得意です。エンゲージメントサーベイとの連携ノウハウも豊富です。労働安全衛生の枠を超え、人事施策の一環として活用する視点を持っています。
留意点: EAP系とは反対に、心理専門職が社内にいない、または外部委託をしている可能性があります。面接ネットワークの厚みや専門家の質は事前確認が必要です。また、タレントマネジメントシステム等に内包されていることが多く、単体利用に比べて費用が高くなる傾向があります。
相性の良い企業: 組織開発、エンゲージメント向上、人的資本経営を推進したい企業
相性の悪い企業: 不調者がすでに発生しており、即応性の高い専門的な個別対応を必要としている企業

システム系
強み: UI/UXが洗練されており、動作がスムーズなシステムを提供しています。自社開発のためシステムエラーや改修への対応力が高いことも利点です。また、効率的な運用を重視しており、比較的低価格でサービスを提供できる点も強みです。
留意点: あくまで「ツール」の提供が主であり、結果に対する具体的な示唆やソリューションは手薄なケースが見受けられます。その場合、提携先との情報連携が不十分であったり、システムは安いが事後対策が高額になったりする可能性もあります。
相性の良い企業: とにかく法的な対応を最小限のコストと手間で済ませたい企業
相性の悪い企業: ストレスチェックの実施に留まらず、その後の職場環境改善までを目的とする企業

総合ヘルスケア系
強み: EAPとしての専門性を持ちながら、健康経営のような「企業をより良くする」ための施策を幅広く展開しているベンダーです。専門スタッフを抱えつつシステムを自社開発しているケースも多く、データを利活用した健康施策との連動を得意としています。
留意点: 守備範囲が広いため、ベンダーの規模や体制によっては各サービスの質にバラツキがある可能性があります。提供される仕組みが自社の求める水準に合致しているか、慎重に見極める必要があります。
相性の良い企業: 不調者対応から健康経営まで、一貫したトータルサポートを求めている企業
相性の悪い企業: 最低限のストレスチェックのみを実施したい企業、極端に安価なサービスを探している企業

細かい仕様を見逃さない

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Webサイトだけでは判別しにくい、直接確認すべき重要な仕様について4つのポイントを記載します。

1「実施者」の手配が可能か
50名以上の事業場がある企業は、ストレスチェックを実施する際に必ず「実施者」および「実施事務従事者」を選任する必要があります。事務従事者は社内での選任が容易ですが、実施者は医師や保健師、公認心理師などの資格が必要です。産業医が引き受けられない場合、ベンダー側で実施者を用意できるかを事前に確認しておきましょう。

2過去データの引き継ぎ
システムを移行する際、以前のデータをスムーズに引き継げない可能性があります。「設問が同じなら大丈夫だろう」と判断せず、導入寸前になってトラブルにならないよう、経年比較データの移行可否については必ず事前に確認してください。

3サポート範囲の確認
見落としがちなのが運用サポートの体制です。初期設定や名簿の流し込みなどをベンダーが行ってくれるのか、あるいはすべて企業側が「セルフサービス」で行う必要があるのかを確認しましょう。手厚いサポートに慣れていた場合、切り替え後に想定外の負荷が担当者にかかる恐れがあります。

4集団分析の柔軟性
従業員数の大きな企業ほど、分析の階層(何階層まで深く分析できるか)や、部署名称の変更・追加への対応力、およびそれらに伴う追加料金や納期の確認が重要です。これらはベンダーによって仕様が大きく異なるため、導入後に後悔しないよう細かく詰めましょう。

まとめ:自社の「現在地」と「目的」に合わせた最適な選択を

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ストレスチェックベンダーの切り替えは、単なるコスト削減や事務作業の置き換えではありません。自社のメンタルヘルス対策を形骸化した「義務」から、組織を活性化させる「戦略的な投資」へと引き上げる重要な転換点です。特に従業員規模の大きな企業においては、運用負荷のわずかな差や分析の深浅が、人事部門の工数および施策の成果に多大な影響を及ぼします。

ベンダー選定において最も重要なのは、自社が今、どのフェーズにいるのかを正しく認識することです。「法的義務の遂行」を最優先とし効率化を求めるのか、あるいは「不調者対応の強化」や「健康経営の推進」といったより高度な課題解決を目指すのか。その現在地と目的が明確になれば、各ベンダーの特性の中から、自ずと最良のパートナーが絞り込まれるはずです。

また、最終的な決定を下す前には、データの引き継ぎやサポートの範囲、集団分析の柔軟性といった「実務に直結する細部」の確認を怠らないでください。これらを見落とすと、導入後に現場が混乱し、本来の目的を見失うリスクが生じます。

本稿で挙げた評価ポイントを参考に、貴社の課題に寄り添い、共に歩んでいけるベンダーを見極めてください。

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