実績紹介 Actual introduction

名古屋大学医学部附属病院・看護部

2007年より当社サービスをご利用

「愛(やさ)しく、温かく、安全な看護の実践を目指します」という理念のもと、高度な総合医療を提供する大学病院の看護部は、より質の高い看護サービスを提供するために、看護部長を中心に、人事・業務・教育・新人育成・看護サービス・医療情報・人材確保・安全管理という業務の役割の中で、高度な専門性と先進性を追求し時代や社会の変化に応じた積極的な活動を展開している。

課題とニーズ
  • 増えるメンタル不調での退職者への対策をしたかった
導入された当社サービス
  • ストレスチェック「LLax seed」
  • プレゼンティーイズムサーベイ「LLax WLQ-J」
ポイント
  • 不調者が早く復帰できるようになった
  • 新人でのメンタル不調による退職がゼロになった

Q.2007年より現在まで5年以上に渡り、ストレスチェック・組織診断および職場環境改善活動を中心に、メンタルヘルス対策に取り組んで来られました。弊社はその当初よりお手伝いしておりますが、サービスをご導入された背景や経緯を教えてください。

当院には昔から「人財を守り、育てる」という伝統が培われています。当院に入職された方はすべて私たちのかけがえのない仲間であり、全員が看護師として大きく羽ばたいてほしいと願っています。そして、1日でも長く働いてほしいと思っています。しかし、ここ7年~8年前くらいからメンタル不調で退職するケースが増えてきました。症状が軽いうちならなんとか退職せずにサポートする道もあったと思うのですが、症状が重くなってから、ギリギリの状態で申し出てくるケースにおいては、時間がかかり、当事者も辛い日々を送りながら治療に専念するも、結局辞めていくケースがありました。我々の知らないうちにメンタル不調を悪化させていたことを、非常に悲しく思いました。そこで、もっと現場にメンタルヘルスの知識やサポートをする体制があれば、不調者を早期にケアしていけると考えたのです。そこで、組織風土に根付かせるような形で活動を進めたいと思い、SNHSにサポートをお願いし、ストレスチェックと組織診断結果をふまえた職場環境改善活動を始めました。

Q.では実際には、どのようにメンタルヘルスケア活動を進めたのでしょうか?

まずは全体状況の確認・把握のため、ストレスチェックと組織診断を実施しました。結果、ストレスが高い部署は、忙しさをお互いにフォローする体制がないことがわかりました。そこで、組織診断結果をもとに、部署ごとに職場環境改善のためのワークショップを開催し、改善アクションを策定しました。一定期間、改善アクションを実施したあと、部署ごとの師長面談をSNHSコンサルタントに実施してもらいました。そこで課題の抽出と今後のアクションについてのディスカッションをすることができました。看護部管理室はその報告を受けて、全体の活動状況の把握と、今後の全体計画策定をします。
看護師長会では改善活動の実際を報告しながら、改善アクションをやってみてどうだったのか、良くなったことと課題を明確にして、部署間で共有しあう場を作りました。こういった活動は、毎年毎年、継続することがとても大切だと思います。毎年やっていれば、データとしての組織診断は読めるようになり、さらにより良い職場作りを目指し、SNHSからアドバイスいただくことで継続した改善活動が可能となりました。

Q.そうした活動を進めてきて、効果が表れてきたのはどんなところですか?

まず、メンタル不調者が早く復帰できるようになりました。それまでは、休職期間はだいたい4~5か月でしたが、1~2か月休めば戻ってこられる人が多くなりました。それは、師長や同僚のアンテナが鋭くなって、誰かが不調になっても早めに気づき、ケアする体制ができたからこそだと思います。また、昔は、新人で辞めてしまう人もいたのですが、今は、メンタルが問題で退職する新人はゼロになりました。同僚の良いところや同僚のおかげで助かったことを「メッセージカード」にして渡し合うなどの取組みを実施していますので、「誰かが自分の仕事ぶりをきちんと見ていてくれる」という安心感が大きいのだと思います。このように、現場では気がついたことは自主的に改善していこうという意識が高まっており、継続は力なりだと思います。

Q.それでは今後、弊社に期待することは何でしょうか?

全体的な意識は向上してきていますが、まだメンタル不調者はゼロではありません。より「働きやすい環境」を目指して、何が必要なのか考え続けることが大切だと思っています。SNHSには引き続き、外部の専門家としてそのサポートをお願いしたいですね。また、一年間の職場改善活動の成果が、組織診断の数字という、明確に目に見える形で示されることも、現場のモチベーション維持のためには重要です。組織診断の数字が良くなれば、「取り組んで良かった、リスクを上げないようにしよう」という意欲に繋がります。

Q.最後に、これからメンタルヘルス対策を検討される方々へメッセージをお願いします。

人を相手にする仕事は、気苦労が多く大変でありますが、それは、看護師も、一般企業で働く方々も同じだと思います。でも、大変なこともみんなでカバーし合う、助け合う気持ちのある職場であれば、どんなに苦しい仕事も乗り切れるのではないでしょうか。働く人々は組織の財産です。希望や夢や期待を持って仲間になってくれた人を、大切にしなければなりません。その意識を、トップが持っていることが必要です。メンタルヘルス対策を現場任せにせず、トップが方針を出して、やり続けていく必要があると思います。メンタルヘルス対策は、何年かやったらそれでいい、というものではありません。「当たり前」のものとして、ずっと継続していくものです。そのためにトップが働く人々のことを思い続ける、その大切さだけは強調したいです。メンタルヘルス対策にかかるお金は小さくありませんが、人を失う損失に比べたらどちらが大きいか、病院は理解してくれています。