実績紹介 Actual introduction

A社(製薬会社)

2011年より当社サービスをご利用

【事業内容】医療用医薬品の製造・販売。バイオケミカル事業 【従業員数】約7,200名(連結ベース)

課題とニーズ
  • 新会社、新組織の理念や風土に適応した産業保健体制の構築をしたい
導入された当社サービス
  • メンタル不調者/休復職者対応「LLax standard」
  • ストレスチェック「LLax seed」
  • カウンセリング窓口「LLax counseling」
  • ヘルスケア研修「LLax training」
ポイント
  • 産業保健体制が構築できると共に、会社としての姿勢が従業員に伝わり始めた

Q.貴社には2011年度より弊社サービスをご導入いただいておりますが、ご導入された背景や経緯を教えてください。

当社は5年前に2社が合併して新会社になりました。旧社時代にもそれぞれメンタルヘルスへの取組みは実施していましたが、新会社として新たな仕組みを構築することが課題となりました。具体的には、新会社の理念や組織風土に適応した産業保健体制の構築です。きちんと機能するインフラを整備することで、従業員の心とからだの健康維持、増進に対応できると考えました。産業保健体制の構築は、自社のリソースだけでやる方法もあるでしょうが、実績やノウハウのある専門機関にアウトソースするほうが効果的と考え、そちらを選択しました。

Q.アウトソースする専門機関の選定のため、主だったEAP会社を集めてコンペティションを開催されましたが、最終的に、なぜ弊社をご選択していただいたのでしょうか?

各会社に丁寧にプレゼンをしてもらいましたので、各社の特徴をつかむことができました。その中で、SNHS以外の会社は、実際にサービスを提供する専門家は「カウンセラー」でした。実は、それまで社内でも、各事業場の人事担当者に産業カウンセラーの資格を取得させて、メンタル不調者および兆候を呈した社員や上長等の相談を一時的に受ける体制を構築していました。その取組みは、一定の効果はありましたが、「就業の継続」という目的に対しては、的確な医療的な判断という点において難しさも感じていました。そこで、産業保健の中心を担うのはあくまで「産業保健スタッフ」として、メンタル不調者の状態をアセスメントし、ケアの方向性を適確に判断し、会社が判断するときに有用な情報を提供してくれる人材であってほしいと考えたのです。SNHSの「OMC」は、まさにそこを担ってくれる専門家であり、プレゼン自体も産業保健活動の重要性を強調するものでしたので、一緒にやっていこうと決めました。

Q.では実際に、弊社サービスを導入されていかがでしたか? 現時点で感じている効果や改善点はどんなところにありますか?

本社の他、全国12か所の支店・工場・研究所にOMCを配置しました。これだけ多くの拠点の産業保健をまわしていくのですから、運用開始から約1年たった現在でも、まだまだ課題はあります。しかし、最大のメリットは、会社がメンタルヘルス対策に本気で取り組んでいるんだというメッセージが徐々にではありますが従業員に伝わっているのではないかということです。当初、予防や対策が後手にまわっていた事業場にも、OMCの存在をアピールできています。

ある工場では、合併後、組織の雰囲気が低調だったところにOMCの訪問が始まり、期待感の大きさもあって、不調になっても早めに相談に行くという流れができました。安全衛生活動の一環にOMCが組み込まれ、不調者の対応だけでなく、ラインケア研修、安全衛生委員会への出席、ストレスチェックの解説等を通じて、メンタルヘルスの専門家としてOMCが頼りにされ始めています。

また、ある支店では、人事労務機能を縮小したところに重いケースが発生してしまい、人事担当者が困っていたところへOMCの訪問が始まったので、ケースマネジメントが適切にできて助かったという事例もあります。

また、ストレスチェック・組織診断の実施は、組織全体の健康状態を把握できるだけでなく、個々のストレス度合いに応じてOMCのケアを早期に始められるという予防効果を発揮しています。

教育研修に関しては、Eラーニングによるセルフケア教育が始まりました。これからはライン向けの内容も増やし、また、OMCによる実地の研修も順次実施していく予定です。カウンセリングサービスは、利用者はそれほど多くないようですが、セーフティネットとしての役割を果たしています。

いずれにしても、OMCによる産業保健活動をさらに軌道に乗せ、社内リソースとの役割分担を明確にし、OMCの活動と各地で起きているメンタルヘルスの問題をできうる限りマッチさせていくことがすべての対策の「肝」です。その基盤を強化していけば、その他の対策との相乗効果が生まれてくると考えています。

Q.それでは今後、弊社に望まれるのはどんなことでしょうか?

社内の人事部門と、すべての担当OMCが、会社としての傷病支援のあり方において、均一な基準を持つようにしていきたいです。産業保健活動には、様々な場面で難しい判断が求められますが、理想は、いちいち説明せずとも当然のように通じ合って、必要に応じて協議はしつつも、深い部分では共通の基準を持っている状態です。そのためには、本社人事と本社担当OMC・コンサルタントが中心となって方針作りをし、全社にどこまで浸透させられるかが重要となります。SNHSとは、内部・外部ということは関係なく、人と人との関係で協働していきたいですね。

Q.最後に、これからメンタルヘルス対策を検討される企業へメッセージをお願いします。

社員の精神疾患や問題行動に対して、人事が曖昧な対応をしていると、結局は大きな問題となってしまいます。社員と労働契約を結ぶということは、正当な労働の対価として正当な報酬を支払うということです。社員がメンタル不調になるということは、その労働契約が不完全なものになることなのです。メンタル不調者への対応が難しいからといって、会社と労働者との間に曖昧な関係を許してしまうと、お互いにとって良い方向には進まないと思います。会社はきちんと安全配慮義務を果たし、社員のほうも健康な状態で労務提供ができるように自己管理をする、その両方が常にセットであるべきです。会社、社員個人、労働組合、家族が役割分担し、それぞれがやるべきことをしっかり果たす、そのうえでお互いに手をとって助け合う組織というものを目指していきたいと思います。